第19章 今夜は眠れそうにない

帰路につく車内は、異様なほど空気が澱んでいた。

福田祐衣は黙って涙を流し、顔を窓の方へ向けていたが、心中は悲しむどころか、微かな快感さえ覚えていた。

その隣で、井上颯人は苛立ちを募らせていた。

不意に、前方の車が強引な割り込みをしてきた。井上颯人はそれを感情の捌け口にするかのように、猛然とクラクションを鳴らした。「プーーーーッ!」

突如響いた騒音に、福田祐衣はびくりと肩を震わせ、恐怖に駆られたようにシートベルトを握り締め、虚ろな瞳で前方を見つめた。

その怯えた様子を見て、井上颯人はなぜか胸のつかえが取れたような気分になった。

彼は声を和らげた。「祐衣、驚かせてしまったかい?」

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